小学校3年生プロデュースのラーメン⑦

中山店で協力中の、中山小学校3年生の「総合的な学習の時間」。

小学3年生がプロデュースのラーメン「栄養まんてん夢のニコニコラーメン」の地元の具材として児童たちが選んだ、前田養鶏所の卵が手に入らなくというピンチ!

「地元の人が笑顔になるラーメン」をコンセプトにプロデュースしたラーメンですから、当然この卵は欠かせない要素です。

卵を産む鶏は、生後150日ぐらいから卵を産み始め、約400日産卵します。

鶏は同じころに生まれた鶏を、一般的には1000羽とか1万羽とか飼育しているのですが、

老化に伴い産卵が落ちてくるとその集団から採れる卵の数も落ちてきます。

その数が餌代などを考慮して採算が合わなくなると、その集団全部を入れ替えることをします。

個体差があって、まだまだ頑張って産める鶏も一緒に処分されてしまいます。

入れ替えになった新しい集団は、最初の頃は商品的に安定した卵を産まなく、安定するまで2~3週間かかるそうです。

通常大きな養鶏所は時期をずらして集団を作っているのですが、前田養鶏所はどうやら対応できない規模なのか、「2~3週間出荷できない」と伝えられました。



ビジネスにはイレギュラーは付き物ですから、我々からすると仕方のないこと。

代わりに普通の卵で販売を継続するか、前田養鶏所の卵が無くなり次第販売を終了するか、子どもたちに選んで欲しいと担任の先生に連絡しました。


ところが返ってきた返事は我々の想定をこえる内容でした。

先生からの返信には、次のようにありました。


子どもたちに卵の話を打ち明けたところ、とても悩んでいる様子でした。

自分たちの思いとしては、中山らしいラーメンで地域を盛り上げたい!まちの人を笑顔にしたい!というコンセプトを大切にしながら、これまで進めてきたので、前田養鶏場の卵がなくなってしまった時に、楽しみに来てくれるお客さんや、前回卵が美味しくてまた足を運んでくださったお客さんたちに対して、どうすればがっかりせずに、食事を楽しんでもらえるから、すぐには答えが出せない状況でした。

前田養鶏場の卵に匹敵するほどの中山らしい新たな具材を探したいというのが一番の理想のようですが、納得する具材に出会えてません。

現在の候補①メンマ→タケノコは中山小にも生えるほどで中山らしくて、タケノコから作られたメンマを具材として採用できれば中山らしさはクリアしているが、旬の時期ではないのと、中山産のメンマを探すことが難しい。 

候補②里芋→駅からすぐ近くの直売所で現在も売っており、中山らしさと旬の両方をクリアしているが、とんこつスープに合うのか不安 独特な食感が苦手な人も多そうとの懸念点があります。

子どもたちは、販売自体はストップしたくないという思いで一致しています。
ただ今すぐに代わりの食材を見つけるのは困難ということが分かったので、探している間は別の卵で代用していただくという意見でまとまりました。

代用卵のラーメンの販売期間中に注文してくださったお客様に対して、子どもたちが手紙を書きました。

ラミネートした状態の手紙を12部ほどお店にお持ちしました。
お店の方でご検討していただき、もしご活用していただけそうであれば、お願いしたいです。


このような返信です。

そして店舗にお客様への手紙を届けてくれたのです。


手紙2.jpeg

 

何と!一時的に代替品の卵を使用したら、楽しみにして食べてくれたお客様に申し訳なく思い、お詫びと、代わりとなる中山らしい具材を探す努力を約束する手紙です。

大人だったら、「やむおえない事情により………」で終わりだったでしょう。

私は先生からのメールと子供たちの手書きの手紙を見て、胸が熱くなりました。

子どもたちはこれほどまでに今回のラーメンプロデュースに想いを載せていたのかと…。


そしてこの手紙に心を動かされたのは、私だけではありませんでした。

七志の総料理長はこの手紙を持って、前田養鶏所に「何とか少しづつでも良いので卵を出荷できないか?」とお願いに行きました。

前田養鶏所も「週に2回、数パックずつなら…」と、快諾してくれました。

数パックの仕入れのためにわざわざ行く総料理長。

通常は販売しないが出来る範囲で協力を約束してくれた養鶏場。

この子供たちの手紙が成し遂げた、小さな奇跡なのでは…と私は思いました。


(小学校3年生プロデュースのラーメン⑧に続く)