七志の創業は1997年。
当時のラーメン店は“店員がちょっと怖くて不愛想で、お店も狭くて汚いぐらいが美味しいお店”という話もあるような時代。
私が20代の頃に十数年勤めてきたお店も、まさにそのようなお店でした。
そんなお店に大切な友人や家族は呼べない。美味しくても不快な思いをさせるかもしれない。
そんなお店で働いている自分を見られたくない。そんな憂いを抱えつつも、日々修行に励んでいました。
ある日私の働いているお店の電話が鳴りました。母からの電話です。
「おじいちゃんが癌で余命いくばくもないの。最後に孫が働いている姿を見たいというから、お店に連れてって良い?」
そう言って祖父と共に、私が勤めているお店にやってきました。
私は思わず「早めの休憩をもらって良いですか?」と店長にお願いして、来店した祖父と母を近くの喫茶店に連れていきました。
働いている姿を見られたくないという一心でした。
祖父が見た私の最後の姿は、楽しそうにお客様に接する姿ではなく、気まずそうにその場を取り繕っている情けない姿でした。
そんな自分がみじめに思えました。
この時、「自分でお店をやる時は、働くスタッフがこんな思いをしない店を作りたい!」と強く決意した瞬間でもありました。
居心地の良い空間で、安心安全な美味しいラーメンを楽しくゆっくりと食べられて、地域の人々に愛される、そんなお店があったら…。
働く自分たちが大切な友人や家族をお店に呼んだ時に「良いお店だね。また来たい!」
と心から言ってもらえる、誇りを持てるお店を作りたい。こういった想いから七志はスタートしました。
だから七志は、美味しさだけでなく、楽しさや心地良さにもこだわっています。
「食事は単にお腹を満たすだけはない。心まで満たされるから価値があるんだ。」
七志のスタッフには常にそのことを伝えています。
七志のスープは洋食や中華など幅広い調理経験を持つ総料理長の河口が、丹念な下処理と手間暇を重ね、
とんこつ独特の臭みを感じさせない濃厚でまろやかなスープを完成させました。
スープは毎日お店で手づくり。スタッフは日々仕込みとの格闘です。
そんなスタッフには感謝の念が絶えません。
最近では工場で作られたスープを使うラーメン店も多い中、私たちは努力と想いがいっぱい詰まったスープに誇りを持って働いています。
美味しいラーメンを、大切な人と楽しくお召し上がりいただきたい。
私たちの願いと想いが詰まった一杯を届けるためには、必要なことだと思っています。
さらに様々なイベントを通して、「このラーメンの時間をいかに楽しくするか」の工夫が必要です。
ワクワクと楽しさが詰まっていまるお店。そんなラーメンで人々を笑顔に、元気にしていく仕事はやりがいと価値を感じています。
皆様の食事の時間が、少しでも豊かで楽しい時間となることを七志は願っています。